胎児死産のための棺つくります

21週で死産した悲しみから、優しいママと天使のために棺とお布団を手作りしています。

火葬②

妊娠21週で胎児奇形のために中期中絶しました。


この悲しみと罪悪感は消えることはなく、心に重くのしかかってきます。


悲しみと向き合い「生きる」ことに前向きになるために綴っています。


午前9時。


火葬の時間になりました。


係の女の方が呼びに来て、「こちらへ」と言われてついていきました。


「ここで最後のお別れになりますので、私が棺の蓋を開けさせていただきます。お別れをお願いします。」


係の人が、棺の中を見ないようにして蓋をあけてくれました。


棺の中は、子どもたちが入れた花で埋め尽くされていて顔も見えないほど。


思わず「もう、顔も見えないじゃん。」と言いながら無理矢理笑いました。


一緒に燃やそうとしていた人形は、中の綿が骨につくといけないからということで棺の中にはいれませんでした。


小さな、小さな手を握り、頬をさすり、おでこをさすり体全体をさすり、係の人に言いました。


「よろしくお願いします。」


係の人が棺に蓋をしました。


そして銀色の、大きな大きな大人の棺桶を乗せるような銀色のストレッチャーに載せて、火葬する扉を開けて中に入れました。


「合掌」


係の人が、そう言ってボタンを押しました。


胸の奥からこみ上げる苦しさをどうすることもできないまま、涙とどうにもならない嗚咽を抑えながら、合掌しました。


ごめんね。


ごめんね。


私が、どうして私がかわってやることができないんだろう。


「千惺(ちさと)」を殺した私が、私がこの世からいなくなれたらいいのに。

火葬①

妊娠21週で胎児奇形のために中期中絶しました。


この悲しみと罪悪感は消えることはなく、心に重くのしかかってきます。


悲しみと向き合い「生きる」ことに前向きになるために綴っています。


火葬の日。


朝、庭に咲いている花を摘みました。


庭に咲いている花なので、たいしたものではないのですが、かわいい色の花を選んで摘んできました。


最後に、子どもたちと一緒に花を棺に入れました。


花は「千惺(ちさと)」の体を埋めつくし、顔が少しだけ見えるくらい。


とってもきれいでした。


とっても、とってもきれいな最後を、兄姉と過ごしました。


子どもたちの記憶に「千惺(ちさと)」が残ることは無いかもしれません。


でも私の中では「千惺(ちさと)」を殺した罪が、一生消えることはないのです。


金曜日で平日なので、子どもたちは小学校、幼稚園に行きます。


学校に行く子どもたちを送り、幼稚園へ送って行きました。


その後、夫と4番目の子どもと火葬場へ向かいます。


火葬は朝の9時からなのですが、8時半過ぎに到着してしまいました。


受付をすると、9時からなのでしばらく待つように言われ、ロビーに行きました。


ロビーまでにはいくつか部屋があり、今日葬儀がある家族のために用意がされていました。


私たちは葬儀をするわけではないので、ロビーで待つことにしました。


4番目が騒ぎ始めたので、仕方なく外へ出ました。


外はお墓になっていて、その一つに鯉のぼりがかざってありました。


もう季節はだいぶ過ぎていたので、雨に打たれ、風に吹かれてヨレヨレでしたが、勝手に、もしかしたらあそこには、男の子が眠っているのかもしれないとお墓に眠っているであろう小さな男の子を想いました。


9時近くになって、再び受けつけに戻ってしばらくすると「火葬の時間です」と呼ばれました。


とうとう、「千惺(ちさと)」とのお別れです。

火葬前夜

妊娠21週で胎児奇形のために中期中絶しました。


この悲しみと罪悪感は消えることはなく、心に重くのしかかってきます。


悲しみと向き合い「生きる」ことに前向きになるために綴っています。


子どもたちが全員寝た後「千惺(ちさと)」が入っている棺をそばにおいて「千惺(ちさと)」とお話しました。


「千惺(ちさと)」を棺から出して、何度も抱っこしました。


何度も、あやまりました。


その体は、とっても冷たかった。


冷蔵庫に入れていたのかと思うほど。


人って死んだら、こんなにも冷たくなるんだと、初めて知りました。


そして見たくなかった背中を見ました。


生まれたばかりの時にあった赤黒い袋は、縮んでいました。


そして「千惺(ちさと)」も、だんだん黒くなってきていました。


棺の中に、「千惺(ちさと)」の姿が変わらないようにたくさん保冷剤を入れました。


でも生きていないということは、残酷です。


死体は、刻一刻とその姿を変えていきます。


「千惺(ちさと)」の背中を見て、涙を流して謝りました。


「ごめん。ごめんね。許して。」


本当に許してほしかった。


もういいよって誰かに言ってほしかった。


でも、誰も許してくれませんでした。


一番許さないのは、私自身です。


本当は、「千惺(ちさと)」は生きられたのかもしれない。


生まれた時のことなんてわからないのに、どうしてここで命を絶ったのだろう。


あんな黒いエコー写真だけで、何がわかるんだろう。


確かに、頭は真っ暗で脳がほとんど見えなかった。


でも、もしかすると、どうにかなったのかも。


寝たきりでもよかった。


自分で息もできない、目も開けられない、何もしなければそのまま息絶えてしまう。


そんなこと、生まれてみないとわからなかった。


生きていたら、もしかしたら・・・。


そんな「もしかしたら」の希望までも、私は絶ってしまったのだ。


簡単に、こんなにも簡単に奇形ということを理由に、私が「千惺(ちさと)」の命を奪っていいわけがなかった。


「千惺(ちさと)」が、選ぶべきだった。


このまま妊娠を継続することが、私の身体を危険にさらすことがあったとしても、この小さな命は守らなければならなかった。


私は、私を一生許さない。