退院
妊娠21週で胎児奇形のために中期中絶しました。
この悲しみと罪悪感は消えることはなく、心に重くのしかかってきます。
悲しみと向き合い「生きる」ことに前向きになるために綴っています。
退院の準備ができて、棺を赤ちゃんの真っ白なおくるみで包みました。
本当なら、真っ白なベビードレスも持ってきていたので着せてやりたかった。
でも、それはあまりにも大きすぎました。
こんなにも、こんなにも小さいとは知りませんでした。
真っ白なおくるみで包んだ棺を持って、病院の中を歩いて出口へ向かいます。
でも誰もそれが棺だとは、死んだ赤ちゃんが入っているとは気づいていないようです。
看護師さんが病院を出るまでついてきてくれました。
なぜだろうと不思議でしたが、最後に理由がわかりました。
私たちは病院の正面出入口とは違う、普通の人が入ることのできない通路に通され、普通の人たちが出入りできない出口から病院の外へ出たのです。
途中、霊安室の前を通って。
夫に言いました。
「死体は、正面から出てはだめなんだね。」
やはり「千惺(ちさと)」は死んだのです。
私が抱えているのは他の人から見たら「死体」です。
病院の正面出入口からは出てはいけないのです。
悲しくて、寂しくて。
普通の出産とは違いました。
死んだ子どもが入った小さな白い箱を抱いて、私は家に帰りました。
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