思い出 ③
妊娠21週で胎児奇形のために中期中絶しました。
この悲しみと罪悪感は消えることはなく、心に重くのしかかってきます。
悲しみと向き合い「生きる」ことに前向きになるために綴っています。
しばらくして、病室に家族全員そろいました。
先ほどいなかった2番目が、悲しそうな顔をして言いました。
「この子、頭がこげてるみたいに黒いね。かわいそう。」
そういいながらも、やさしく、やさしくなでていました。
看護師さんが病室に来て、家族写真を撮ってくれることになりました。
その時、私の携帯がなりました。
電話に出ると、私の仕事関係の人。
ああ、この人は今ここで何が起こっているか知らないんだ。
病室から一歩でたら、私の家族以外はこの悲しみは知らなくて、いつも通りにすべてが動いているんだ。
当たり前だけど、不思議な感覚。
私は仕事の時の私になって言いました。
「すみません。10分後にかけなおします。急いでる?すみません、10分以内にかけなおすから。ちょっと待って。」
それから家族写真を撮りました。
でも赤ちゃんは小さすぎて、うまく写真におさまりません。
何度も撮りなおしてもらいました。
これが最後の家族写真なので。
最後。
最後でした。
最初で最後の家族写真でした。
写真を撮り終えて、看護師さんが病室から出て行った後に、夫が家から持って来たデジカメでもう一度写真を撮りました。
写真の中の人たちは、誰も笑っていません。
もし順調に、予定通りに産まれていたら。
そうだ、どんな状況、どんな体の状態、どんな障害を持っていたとしても、この命を終わらせてはいけなかった。
たとえ、生まれてきても自分で息もできず、目も開けることもできず、そのまま息絶えることになったとしても。
10か月間、大事にお腹の中で育てて生んでやることが、私の唯一この子にできることだったのではないだろうか。
そんな思いが頭をめぐりました。
続きはまた明日。
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